――まずは宮崎生協病院での研修の特徴について、教えていただきたいんですけども、どういった研修が特徴でしょうか。

高田:一人の患者さんの可能な限り全身を把握して、その中での治療を進めていくというところですね。合言葉としては、「毎日問診、毎日診察」ということで、今日、聞き逃したことは翌日さらに深めようと。あるいは、診察も昨日取れなかった所見は、今日取れるようになろうと。また、明日さらに、練習をして取れるようになっていこうと、そういうコンセプトの研修です。ですから、研修医の先生が納得するまで受け持ちの患者さんは“1人”です。2カ月目とか、3カ月目になってから、複数の受け持ちになる先生もいます。

――じっくりやっていこうっていう研修のやり方について、この間研修医の方々へも浸透してきているという手ごたえなどはどうでしょうか。

高田:やっぱり1年目の先生方は、患者さんがどういうふうに良くなっていくのかっていう見通しが立たないのが一番不安なわけですね。そこの不安を大きく取り除くことができているんじゃないかと思います。また、今は毎朝、研修医の受け持ちの患者さんについては、複数の上級医と共にカンファレンスを行うようにしています。朝7時から一緒に回診してですね、で、7時半から医局でカンファレンスをするというのが今の流れになっています。

――次に先生自身のこともお伺いしたいのですが、研修医の方々と向き合うにあたって、先生自身が指導する上で心掛けていらっしゃることなどはありますか。

高田:僕自身がそういう医学教育っていうことでは、それを専門にやってきたわけではありませんので、指導する立場になってから、自分が受けてきた研修とか、あるいは、ほかの病院での研修の状況を勉強しだしたっていう状況ですね。で、このかんの反省はですね、自分が受けてきた研修は、今の時代には「もう合わない、マッチしないんだ」というのがよく分かったということですね。それが「最初は一人しか受け持たせない」という、その出発点でもあるわけですね。

――昔、先生が受けられてきた研修っていうのは、患者さんを多く受け持って……

高田:そうです、そうです。

――その研修方法の方針転換みたいなものは、かなり先生方の中でもかなり議論された上で決まったんですか。

高田:一定議論しましたけれども、僕が強力にそれをすすめました。先ほど合言葉はお話ししましたけど、あんまり言わない心の中での、僕自身の合言葉は、“僕が受けてきたような研修はうちに来る研修医にはさせない”と。そういうことなんですね。

――それはある意味すごいですね。

高田:そういうのが僕自身の目標ですね。で、ここ数年間、その目標は非常に正しいという確信を深めています。

――今、研修医の方、何名かいらっしゃるんですけども、これからどんな研修医を育てていきたいと考えられてますでしょうか。

高田:一つは、患者さんとじっくりしっかりと向き合える研修医ですね。あとは、謙虚な姿勢が大事だと思うんですね。いろいろと経験を積んでくるとですね、この症状からはもうこの病気だ、だから、この薬だっていうふうになっていきがちなんですけれども、ひょっとしたら、この病気が隠れてるかもしれないなとか、この薬で本当にいいのかなっていう、そういった謙虚さって言いますかね、そういったものを持ち続ける用心深さですかね。そういったものが必要かなと。あとは、患者さんに寄り添える人ですね。患者さんに寄り添って、僕たちができることは限られてますので、やるだけやっても、だんだん悪くなる方はいらっしゃるわけですので、そういう方に寄り添う医療従事者になれるかどうかっていうところも大事だなと思ってます。

――その謙虚な姿勢ということで言えば、なぜ先生自身が「僕の受けてきた研修を受けさせないんだ」というふうに思われたのかなと?

高田:それはですね、受けてきた研修のシステムもそうなんですけど、僕自身の問題でもあると思うんですね。トコトン追及するっていう本来の医者としての姿勢を見失ってたってそういう時期があるわけですね。その原因になってたのは、受け持ち患者さんが多くて、それを日々こなすだけの研修、医療になってたっていうのが大きかったんじゃないかなという自分の分析、反省から出てきたんですね。

―なるほど。

高田:はい。ですから、実力が付いてきた中で患者さんをたくさん受け持つのはいいと思うんですね。ただ、その実力がないまま、これはどうなんだろう?あれはどうなんだろう?というふうに、疑問を解決しないまま、患者さんが良くなっていくこともあるわけですね。それを繰り返していると、そのやり方に慣れてしまうんですね。

――場当たり的というか。

高田:そうです。それがもう僕自身の大きな反省です。

――では、宮崎生協病院での研修を一言で表すとすればどういう言葉に?

高田:一言で言うと、「アットホームな研修」だと思うんです。医局の雰囲気としては、ゆっくりじっくりというのも当てはまると思うんですね。研修医の眞川先生とか、今3年目の先生はですね、他の病院を回ってるときも、 たまにヒョコッと現れるんですよ。

――ほう。それはなぜ?

高田:僕たちは「今日何しに来たんだ?」っていうふうに聞くわけですね(笑)「いや、ちょっと寄ってみただけ」って(笑)今年の5月に鹿児島に帰っちゃった平元先生なんかは、「実家理論」っていうことを言ってましたけどね。病院に実家の雰囲気があると。で、この間、クリクラの学生さんが久しぶりに当院のマッチング試験を受けに来てくれたんですけど、期せずして同じことを言ってました。実家に帰ってきたような気分だって。みんなでじっくりとやろうという、その方向での医局での意思統一っていうのはできてると思いますね。不思議なことです。