――まず初めに、上戸町病院での研修の特徴について教えていただきたいのですが。

近藤:研修病院の中では規模としては一番小さい、全国でも最少規模ぐらいの病院なので、スタッフの数も少ないですし、医局の先生の数も少ないです。大きな病院だとどうしても各部門でのコミュニケーションが取りづらくなってしまったりするところがあるんですけど、上戸町病院では職員の顔と名前もだいたい一致していますし、お互いの顔がよく見えてコミュニケーションが取りやすいっていうところは一つの特徴かもしれないですね。雰囲気はとても「アットホーム」な病院です。あとは、小さいので研修に関するいろんな調整が非常にやりやすいですね。例えば研修医の要望もすぐに聞き取って改善させたりできます。あと研修の振り返りを毎日しっかりできることも特徴です。その日の最後に研修医と受け持ちの患者さんのディスカッションをして、振り返るっていう作業をしてるんですよね。その中でカルテがちゃんと書けているか、オーダーがちゃんとだされているかや間違っていないかをチェックして不足していることを指導します。ですからこの振り返りには指導と、セーフティネットをはるという2つの意味合いがあるわけです。そういったこともこの規模の病院だからできるのかなって。例えば、研修医が10人とかですよ、数が多かったらそんなこと毎日とてもできませんもんね。

――先生自身が研修医の方に指導をされる上で、心掛けてらっしゃることとかっていうのは、どういったことがありますか。

近藤:一つは自分自身の知識とか、技術とか、そういったところがしっかりしてないと指導ができないので、まず自分を高める努力が必要かなと。その努力をした上で指導をするってことですね。あとは、一人、一人やっぱり研修医の先生たちは性格も違いますし考え方も違ったりするので、最近実際できてるかどうかは別にして、個々の研修医に合わせた指導というか、この先生にはこういう教え方がいいんじゃないかとか、こういうアプローチがいいんじゃないかとか、一応そういうことは考えながら指導はしてますね。

――その中で、特徴的な研修医の方とか、個性のある方などはいらっしゃいましたか?

近藤:そうですね。恵まれてたというか(笑)あまりそんなに困らなかったですね。コミュニケーションは問題ないですし、考え方もしっかりしていますし。だから、そこは私も指導医としてまだ2年ちょっとなので、そういう意味ではありがたかったのかなという気はします。

――これから、上戸町病院で研修を受ける方たちが、たくさんいると思うんですけども、どんな研修医・医師を育てていきたいというふうに考えられてますか。

近藤:医学的な知識、技術っていうのを当然身に付けさせなければいけないし、それをするのは指導医の役目だろうと思ってるんですよ。ただそれは一番基本的なところで、どこの病院でもそうだと思うんですけど。こういう病院なので、どうしても人と人との関わりとか、スタッフ同士や患者さんとの関わりが非常に大きいと思うので、一つはそういった“関わり”を大事にする、コミュニケーションを大事にするような医者になってほしいっていうのが一つですね。そこを指導するのは難しいんですけど。あとはいつまでも楽しみながらやりがいを感じて医者続けられるような、「元気な」医者になってくれると嬉しいですね。そこもなかなか難しいですけど(笑)あとは、最近の傾向だと思うんですけど、“自分”.がどういうスキルを身に付けて、どういうふうに働くのかが一番大事、だから技術を身に付けるために病院をいろいろ渡り歩くっていうようなところがあります。初期臨床研修制度が始まってから、いったん2年間の研修はここでするけど、それはあくまでスキルアップのためで、その後はどこでスキルを身に付けようかみたいな、そういう考え方がかなり強くなってるような印象があるんですけど。たしかに診療はどこでもできるし、患者さんも診れると思うんですけど、実際に大きな力を発揮するには、どうしても組織が必要だと思うんですね。医師も組織の一員で、その中で自分がしっかり役割を持ってやってないと、大きなことは成し遂げられず小手先だけになってしまうというところはあると思うんですよね。だから、スキルとか、目先の知識や資格だけにとらわれてしまうんじゃなくて、自分がなにをしたいのかよく考えてその上で組織のなかでどういった役割を担っていかなければならないのか、そういった視点で物を考えられるような医者になってほしいっていうのはありますね。

――ちょっと質問が変わるんですが、先生自身がもともと医師を目指されたきっかけっていうのは何だったんでしょうか。

近藤:そうですね。もともとは医者になるつもりはあまりなかったんですね。少なくとも中学生まではなかったです。で、高校生になって、医者になろうと思ったんですけど、その一つのきっかけは、高校1年生のときに父親が癌で亡くなったんですよね。ただ、それで「父と同じような患者さんを助けたいから」とかっていう、きれいな理由ではあんまりなくて、どちらかというと父親もいないんで、一定の収入がある仕事につかないとまずいんじゃないかなというような思いもあったので。それまで、何をしたいとか、何をしようっていうのは、あまりなかったんですけど、医者になろうかなって思ったのはそういったのがきっかけでしたね。