――沖縄協同病院の中で、研修医の方にお話をだいぶ聞かせていただいたんですけども、皆さん異口同音に医局の雰囲気がすごくいいというふうにおっしゃられてたんですけども、そういう雰囲気の良さというのは、先生自身はどういうふうにとらえられていらっしゃいますか。

木本:もちろん、学生は雰囲気とかそういうところにやっぱり目が行くっていうところ、あるとは思うんですけど、やっぱり僕らの目標は、研修医が来てくれるのは当たり前だけど、その研修医をここの病院にとどめること、これから先もここで働きたいっていうそれを見せないといけないんじゃないかな。見てるとどうしても県外から来る人は、2年間沖縄で楽しく過ごしたいっていうのが見える。そういうふうに来るのはいいけども、彼らをここの病院にとどめておくには、やっぱり大事なのは研修の中身なんで、それを充実させないと本当に「2年間沖縄楽しかったね」で帰って行っちゃうんで。それはやっぱりわれわれ、スタッフドクターの仕事ですね。

――今後、沖縄協同病院さんのほうで研修をされる方は、また来年以降もどんどん来られると思うんですけども、そういった学生さん、もしくは医学生の方、医師を目指す方々に、一言先輩医師としてのメッセージというか、アドバイスなどがあればぜひ教えていただきたいんですが。

木本:医者にもいろいろあるので、すべてがおんなじ医者になる必要はないし、すべてが僕とおんなじ考え方でやっていく必要もないし、僕みたいな人ばっかりだったら多分成り立たないだろうし。いろんな人がいて、初めてバランスよくなるんだろうけど。いい仕事であるのは間違いない。人から感謝をされて、それで、人のために頑張るっていうとこら辺なんでしょうけども、この仕事は。でも、自分とか、自分の家族を犠牲にしないといけないところもやっぱりたくさんあるので、なかなか甘っちょろい考えではこの仕事は難しいかな。

――覚悟を持って、責任を持ってということですかね。

木本:そうですね。責任感を持ってやり遂げてほしいなっていう気はしますけど。今から目指す人ね・・。実は僕も「責任感」とか、そんなこと思って医者になったわけじゃないからね。自然にそうなっていったので、そうせざるを得ない環境にあったから、そうなっていったわけで。それを今の臨床研修制度で若いときから責任感を植え付けていくっていうのが、けっこう難しくて。僕らはそれを上から強要されて、そのうちにできていくものが、今は自主的につくっていってもらわないといけないので、その辺が難しいんですよね。つらいことも多いけど、やっぱり、喜びはその分大きいですよね。

――先生自身が喜びを感じるっていうところはどういったところですか。

木本:やっぱり難しい症例が元気になって帰っていってくれたときですよね。記憶に残るのは悪くなった症例が多い。結局思い出はつらいことばっかりなんですよ。良くなった症例って、記憶から薄れていっちゃう。

――今後、10年、20年っていうスパンでも、大きいスパンでも結構なんですが、先生ご自身の夢、目標というものはどういったところに置いておられるんでしょうか。

木本:僕の目標は医者をやめることです。

――これはどういった?

木本:これ以上、もう十分頑張ったと思えるときが来たら、医者をやめたいなと思ってて。

――納得して医者をやめるということでしょうか?

木本:うん。現実的には一生無理だとは思ってるけど、もういいやって、逃げ出すんじゃなくて、もうやり尽くしてやめたいなとは思ってるんやけど。まあ、ちょっと無理かな(笑)