――人として向き合うという。

角銅:そうですね、向き合うこと。素直な気持ちで話し合えることとか、話を聞くことができるとか、そういうことが、何十年も続いていってほしいなと思うんですよね。

――これから、医師を目指される方々に、先生自身のご経験の中からメッセージとかアドバイスがもしあるとすれば、どういった言葉になるでしょうか。

角銅:すごくやりがいのある魅力的な仕事なので、本当に人間と人間の関係を築けると思います。そして、悲しいかな「人の最期の終末」にも、そういう人生の大事なところで携わらしてもらう仕事なので、本当にやりがいがある仕事なんですよね。医師ということで言うと、あまり医学の勉強とか言うと、すごい狭い世界になってしまうので。もし、お医者さんになりたいなとか思ったとしても、いろんな幅をもって勉強やら、趣味やら、幅をもってしてもらったほうがいいかなと。あんまり医学の勉強ばっかりすると、その幅が広がらないというか。

――人間性を豊かにするといったことでしょうか。

角銅:うん。自分も豊かになって、その影響が必ず患者さんとか、家族とか、スタッフの人とかにもやっぱり広がっていくようなことにつながるので。いろんなことに興味を持って、勉強はもちろんしていかないと、試験がありますから(笑)なんだけど、やっぱりそれだけにとどまらず、「なんでこんなことが起こっているのかな?」とか、「ここは福岡だけど、震災の人たちは今どういう気持ちなんだろうな?」とか、想像力っていうんですかね。そういうのを、やっぱり豊かに考えられるような人になっていってほしいと思います。その先にお医者さんっていうのがあるかもしれないですけど。

――それで言うと、もうまさに、民医連で研修をするということの意味がとそこにありますよね。ただ目の前の患者さんだけじゃなくて、患者さんのバックボーンだったり、社会的背景だったりっていうものも含めてみるという・・。

角銅:いやが応でも入ってきますからね、自分たちの中に。一つの病気を治そうとしても、やっぱりその人の生きているベースが治療を受けられる条件ではなかったりする人たちが、たくさん病院に入ってきますので。外に出れば、もっとそれよりも何倍もの人たちがいるっていうことに、気づかされるんですよね、研修医のときから。そういう患者さんのことを診るんだけど、でも、そこから先っていうのは、「どうやってこの人、生活していくんだろう?」とか、そこまで考えさせられるような、考えなければならない研修をここではやっぱりするので。そういう意味では、自分も世間知らずだったんだけど、ここの医者の仕事をしだして、いろんな社会保障とか、そういう手当の問題とか、どんどん、どんどん、いろんなことを教えてもらったんです。今は、いろいろ知ってるように下の子には言うけど、もう大学6年間出ただけでは、たぶんそんなこと知らないで、医者に「ボンっ」てなるから。だけど、やっぱり患者さんが教えてくれたことってたくさんあるんですね。

――病気と向き合うんだけじゃなく、患者さんと向き合うっていうことですね。

角銅:そう。その患者さんの先には、社会があったりとか、その背景ですね。その人は病院にずっといるわけじゃなくて、社会に出るわけなので、だから、そこはどういう社会だろうってやっぱり見ざるを得ないんですよね。