――先生が、研修医の方に対して、直接指導する上で心掛けていらっしゃることがれば、教えていただきたいんですが。

角銅:心掛けていることは、研修に対して一人一人が持っている個性とか、ペースとか、そういうのを大事にしたいなというふうに思っているのと、全般的に4人が4人とも、いろいろあるけれども、その日、その日で元気かな?というのはとても気にしてます。体力的にも元気かなというのと、精神的にも元気かなという。何かつらいこととか、何か病院に来たくないようなことがないかなとか、それは患者さんのことであったりとか、病棟のことであったりとか、いろいろあると思うんですけど。

――先生から積極的に声をかけていかれるんですか?

角銅:う~ん、割と私自身が引っ込み思案なので、「よう、元気?」みたいな感じではあんまり言えなくって。ちょっと様子を見ながら、ご飯食べるときとか、一人でちょっといるようなときに、「どう、元気なの?」とか、そういうふうにかけてるような感じですね。

――注意して、見守っていくという感じでしょうか。

角銅:そうですね。だから、朝から「よう」とか言うのはわりかし、研修医委員長の山本先生の役目っていうか、キャラクターで(笑)私はちょこちょこ合間を見て、声かけられるときにかけて。ちょっと1日1回ぐらいは少し話そうかなとかは、気に掛けてます。

――先生自身、どんな研修医の方を今後育てていきたいというふうに考えられて、お仕事に取り組まれてるんですか。

角銅:やっぱり何事にも正直に、一生懸命になれる人を。そこには、「自分自身にも正直に」っていうのも含まれてるんですけど、対患者さんであるとか、対スタッフの方にも素直で、正面から正直に話ができる研修医ですね。そういう研修医を育てたいですかね。

――今、実際に指導されてる研修医の方々は、どんな印象ですか?

角銅:うん、みんな元気ですよ。みんな元気で、とても素直で、ほんと、それぞれ4人とも個性が何か違うんですけど、それぞれいいところを持っていて。もちろん今から修正しなきゃいけないところも持っているんですけど、本当に伸びる子たちだと思っているので。本当に元気。元気の素みたいな子たちです(笑)

――ちょっと先生自身のお話をお伺いしたいと思います。先生が長い間医師をやってこられて、ここまで続けてこれた原動力や魅力はどこにあるんでしょうか。

角銅:やっぱり患者さんからもらう力とか、治る病気は少ないんだけれども、やっぱりいつも患者さんから力をもらっている感じですかね。それで、いろんな嫌なこととか、自分でうまくいかないこととかがあっても、患者さんの言葉一つ一つがすごく自分に入ってくるっていうんですかね。そういうことがあるから、たぶん、十何年間続けられてるんじゃないですかね。

――今後の夢や目標みたいなものっていうのはありますか。

角銅:そうですね。私は患者さんが、患者さんらしく生き抜いていて、最後には死っていうものがあるんですけど、そこに寄り添えるような医師を目指しているので。例えばこの地域って、独り暮らしだったりとか、あと仕事をなくして本当、天涯孤独みたいな人もすごくいるんですけど、そういう人が生きていく上でも、何か孤独に生きていくんじゃなくって、病院との関係を持っていただいたりとか、その人が病気で亡くなるときも、やっぱり寄り添いたいなと思っているんですよね。現実的には難しいかもしれないけど、例えばそういう自由な場とか、自由な施設とか、どんな人でも寄り合えるような場を提供したりとかね。病院じゃなくて、地域にそういう場があったりしてもいいんじゃないかなって思うんですよね。そういうものに「手助けができたらな」とか、そういうことは思います。

――研修医の方々のお話を聞いていても、皆さん、地域医療とか、患者さんとより近く向き合えることがすごく魅力なんだっていうふうにおっしゃられてました。

角銅:うん。

――先生が考える地域医療、例えばそれは「患者さんと向き合うこと」っていうことに置き換えてもいいと思うんですけども、それには医師としてどういったことが必要になるんでしょうか。

角銅:やっぱり真剣にその人の話を向き合って聞ける態度とか、それが技能とか言ってしまうとちょっと「うん?」って私は違和感があるんですけど、そういう患者さんと向き合う気持ちをつける。だから、医者のプロフェッショナルな蓄積をしていく中に、対等とか、普通の人との対話とか、そういうのはずっと忘れないでほしいって思います。けど、難しいですね。そういう力を維持するっていうのは。だから、チーム医療とかでも、対看護師さんとかでも、やっぱり人と人との関係を大事にするとかいうことでよりよいものができると思うし、患者さんとか、家族の人とも、対等にお話をして、専門的な話は向こうに提供する役割はあると思うんだけど、やっぱり生き方とか、死に方とかということが、きちんと真正面で話せるような気持ちを持った人っていうかね。そういうのをずっと持っててほしいですね。今いる研修医の4人は、たぶん、いろいろ教えてもらってるほうなので、人と向き合うことの大事さだとか、やっぱり対等な関係でとか、今はすごく思ってるんだけど、十年、二十年、三十年たっても、最初のそういう教育ってずっと残るから、それ、必ず忘れないでほしいし。自分が病院の中から外に出たときも、やっぱりそういうふうに対応できるというか。