研修医:竹邊

──そもそも医師になろうと思ったきっかけは何だったんでしょうか。

器用貧乏なんです。

竹邊:僕は、中学3年生のころに、祖父が再生不良性貧血っていう病気になって、で、けっこう血液型とかも特殊で亡くなる可能性が高いっていうふうになって。当時中学3年生なんでできることとか、本当にたかがしれてて、お見舞いに行くぐらいしかできないんですけど。そのときに、これから先、自分の家族とか大切な人とかが、同じように苦しい、命にかかわるような状況になったときに、こうやって悲しい思いをするだけしかできないのは嫌だって思って。で、もともと人の役に立つ仕事っていうか、人と接してる仕事にはつきたかったので、だったら、医療職につくっていうのを決めて。医療職の中でも、自分で治療というものができる医者っていうものを選ぼうと思って。

──中学3年生から明確に。

竹邊:そうですね。中3の時、思ったんですけど。ただ、勉強とかは全然しなかったですね。

──いつごろから勉強を本格的に?

竹邊:したのは、高3の夏ぐらいですかね。それまではもうほぼ毎日バイトして、彼女と遊んで、友達と遊んで、朝3時とか4時に帰ってみたいな感じだったんで。

──その後、一念発起という感じで勉強を?

竹邊:なんとなく、やんなきゃいけないっていうのは分かってたんですけど。でも、こうやって遊んだりするのも、今しかできないって思って。勉強だけで人生終わりたくないっていうのがあったんで、浪人しても正直いいやって思ってたし。楽なほうに流れたっていうのもあるんですけど…。杉野先生とかはすごいしっかり自立されてるんですよ。自分で律することができて。そういうの尊敬しますよね。僕の親友とかにも、「おまえは努力をする才能がない」って言われました。「ある程度のことは器用にこなすけど、努力をする才能がないから」って(笑)

──なるほど(笑)

竹邊:たぶん、がむしゃらになることがどんな面においても苦手で。だから、できる人をみんな尊敬しますね。まじめに勉強する人でも、スポーツに打ち込む人でも。

自分の信念っていうものがそこにある

──これから医師を目指す方々になにかメッセージをいただけますか。

竹邊:ウチの病院は高校生一日医師体験っていうイベントがあって、その時にお話しする際に言ってるんですけど。よく医者になりたいっていう人の多くが、「人の役に立ちたい」っていうふうに言うと思うんですよ。すごくすばらしい考えと思うし、僕もそう思ってたんで、そこに何も反論はないですけど。ただ、病院を見渡すと看護師さんとか、薬剤師さんとか、リハビリの先生とか、みんな人の役に立つじゃないですか。みんな患者さんのことを思うし。じゃあ、なんでその仕事の中で医者なのかっていうのを一度考えたほうがいいと思います。医者っていう仕事は正直、想像してるよりも責任は強いし、大変な仕事だし。たぶん、生半可な覚悟で来たらつぶれることもあるかもしれないけど。でも、医者になる前にそれを1回考えてたら、自分の信念っていうものがそこにあると思うから。

──「なぜ医者なのか?」と、自分の中でもう一度問い直すということですね。

竹邊:そうですね。たとえば学校の先生とか、どの仕事も人の役に絶対立つじゃないですか。数ある医療者の中でも、なんで医者なのかっていう。でも、この答えを出せる人って、そういないと思う。僕もそんなに、何かはっきりとした答えはまだ出せないんで(笑)